『遠距離介護の幸せなカタチ 要介護の母を持つ私が専門家とたどり着いたみんなが笑顔になる方法』(祥伝社)を出版されたワハハ本舗の柴田理恵さん。この本にはNPO法人となりのかいご代表、川内潤さんも登場します。 川内さんも『わたしたちの親不孝介護 「親孝行の呪い」から自由になろう』を刊行。爆笑問題・太田光さんをはじめ、専門家、介護が始まった人、始まる前の人と「親不孝介護」の考え方を通して、親との距離の取り方、別れ方について語り合っています。
今は介護とは無関係な生活を送っている。けれど、いつかは親の介護をすることになるんだろう……。 親御さんが健在の方ならば、“身内の介護”については、少なからず想像したことがあるのではないでしょうか。ところが、親でも、親戚でもない、“赤の他人の介護問題”が、いきなり降りかかってくることもあるのです。 「管理人が勝手に部屋に入ってくる!」 分譲マンションに住み、そこの理事長を務めるHさん。同じマンションで一人暮らしをする80代の男性からこんな苦情が入りました。 「マンションの管理人が、自分の家に勝手に入り込んでくるんだ!」 驚いて管理人に確認すると、そんな事実はないと言います。「そもそも、管理人がお預かりしているカギでは、個々の住宅のドアを開けることはできないんです」と。それを男性に伝えても、「でも、何回も入り込まれて本当に困っている」と繰り返すばかり。 話し合いを重ねても、一向に問題は解決しま
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認知症を引き起こす病である「アルツハイマー病」も、アミロイドβの蓄積によるものであることがわかっています。 世界中の研究者たちは、認知症を克服するためにアミロイドβをいかにして脳に溜めないか、排出するかに関しての研究を進めています。 たとえば、米国のスタンフォード大学では、アミロイドβに関するさまざまな研究論文が発表されています。有名なのが、スタンフォード大学西野精治教授の、睡眠とアミロイドβとの関係性に関する研究。睡眠不足が続くとアミロイドβがうまく排出されず脳内に蓄積し、認知症になるリスクが高まるというのです。 脳のゴミであるアミロイドβを排出すること、つまり脳を「おそうじ」することが、認知症を予防するうえで、非常に大切なポイントであることがわかると思います。 食べるものを変えれば脳はきれいになる 脳のゴミを排出するために重要な要因の1つが食事です。 アミロイドβは、発生量を抑え、体外
どんなに看護師さんや介護士さんが一所懸命やっていても、不幸にも事故が起きてしまうことはある。どんなに「トイレに行くときは声をかけてください」と伝えていても、頭より体がフライングし、気づいて「あっ!」と声をかけたときには……、ということは、日常的に高齢者と接している人は経験したことがあるのではないか。少なくとも私は施設を訪問するたびに何度も目撃したし、自分の親にも同様のことが起こり、冷やっとした経験がある。 認知症の患者の3割は身体拘束されたことがある いったい「見守りの義務」とはどこまでのことを言うのか? 確かに転倒による事故は不幸な出来事ではある。だが、「事故=施設の責任」という空気が社会に熟成されてしまうと、施設側は予防線を張らざるをえない。 高齢者の自由に歩く権利、自由に動く権利は奪われ、最悪の場合、事故防止策という名目で、「身体的拘束」が正当化される。 冒頭の判決の報道でこんなこと
『母さん、ごめん。』著者、松浦晋也さんインタビュー(前編) 2017/9/29 伊藤和弘=フリーランスライター 「初動の遅れ」が取り返しのつかないことに 非常に一生懸命、介護に取り組まれる様子が印象的なのですが、ご自身で「これは失敗だった」と思われることはありますか? 松浦さん 自分の介護を振り返ってみて、一番の失敗は「初動の遅れ」です。10月に総合病院の神経内科に電話して、予約が取れたのが(翌2015年の)2月ですからね。この初動の遅れは痛かった。 本にも書きましたけど、まずは近所の「地域包括支援センター」に連絡するのが正解です。私は普通の病気と同じように考えて、医者を探して予約を取るという対応をしてしまいました。対応が遅れると、どんどん母のできないことが増えていく。すると、少しずつこちらのストレスもたまっていくんですよ。 松浦さんは一人だったのでなおさらですが、公的介護サービスに頼らず
「注文をまちがえる料理店」というプロジェクトを立ち上げました。このちょっと不思議な名前のレストラン。6月頭の2日間、都内某所で、たった80人ほどのお客さんを招いただけの、ひっそりとしたプロジェクトになる……はずだったのですが、想像をはるかに上回るとんでもない反響を呼ぶことになりました。 ヤフー!の急上昇ワード(ツイッターのリアルタイム検索)で1位を獲得すると、テレビ各局、週刊誌、新聞からの取材依頼が相次ぎ、さらにはアメリカ、中国、シンガポール、イギリス、スペイン、ポーランドなど海外メディアからもこのプロジェクトを自国で紹介したいとの連絡が殺到しました。 これまでさんざん取材をしてきた自分が、まさか取材をされる側になろうとは思いもよらず、おたおたするばかりの毎日。メディアに身を置きながら情けない話なのですが、こういう体験はなにぶん初めてのことで、なかなかきちんとした対応もできないままの状態が
認知症の母との日常を記録したドキュメンタリー映画『毎日がアルツハイマー』(2012年製作)のヒットに続き、続編『毎日がアルツハイマー2 関口監督、イギリスへ行く編』を2014年に公開した映画監督の関口祐加さんは、次回作『毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル』の上映に向けて活動している。前回記事「『毎日がアルツハイマー』主演は母、映画監督の娘はどう見た」に続き、関口さんが考える理想的な認知症ケアについて話を伺った。 「パーソン・センタード・ケア(認知症の本人を尊重するケア)」を知った関口監督(右)は、イギリスに飛び、ハマートンコート認知症ケア・アカデミーのヒューゴ・デ・ウァール博士(左)らに取材をした。関口監督がイギリスで学んだ、認知症ケアで大切なこととは?(©2017 NY GALS FILMS) 3年半お風呂に入らなかった母、そのときどうしたか 『毎日がアルツハイマー』を製作していく中で
高齢者の薬の問題で家族がまず心配するのは薬の飲み忘れだが、問題は飲み忘れだけではない。高齢になると持病が増えて、薬が増えてくる。それに伴い、副作用や飲み合わせなど、気を付けなければいけない問題も増えてくる。持病で飲んでいる薬が認知症の原因になる可能性も!そんな高齢者の薬の問題について、前回「その薬の飲み忘れ 『認知症の始まりかも』を考えよう」に引き続き、東京大学大学院医学系研究科加齢医学(老年病学)教授の秋下雅弘さんに話を聞いた。 処方される薬が6つ以上になると、薬の副作用を起こす高齢者が増えることが分かっています」と専門家は言う(©-123rfstylephotographs) 薬が増えると認知症のリスクも増加! 高齢者の場合、複数の病気で複数の病院に通院している人も多い。病気の数が増えればその分、飲んでいる薬の数も増えてくる。厚生労働省の「2015年社会医療診療行為別統計」によれば75
認知症の予備軍といわれるMCI(軽度認知障害)。65歳以上の高齢者の7人に1人に相当する約400万人がMCIだと推計されており、放置すると5年で半数が認知症に進むと考えられている。このMCIを高精度で見つける血液検査が開発され、地域の診療所や病院の物忘れ外来のほか、人間ドックのオプション検査としても受けられるようになっている。 認知症は、脳の神経細胞が壊れることで、記憶力や理解力、判断力などが低下して、日常生活に支障が表れる病気。日本では65歳以上の人の15%、462万人が認知症だと推計されている。また、病的なレベルではないものの、認知機能が通常より低下している「MCI(軽度認知障害)」の人も、約400万人いるとされる。 「認知症の予備軍であるMCIの段階から手を打てば、認知症への進行を予防できます」。こう力強く話すのは、筑波大学医学医療系准教授の内田和彦医師だ。 内田医師は2003年に、
認知症患者との対話法「バリデーション」、家庭でできる5つのテク 2016/9/28 伊藤左知子=医療ジャーナリスト 2016年9月8日の記事「暴言や徘徊がなくなる!?認知症患者を救う奇跡の対話法『バリデーション』」で紹介し、大きな反響を得た認知症の人との心の通うコミュニケーション法「バリデーション」。認知症が進んでも最後まで失われない機能「感情」に働きかけるとして注目されているこの対話法について、今回は家庭でも行えるテクニックを、関西福祉科学大学社会福祉学科教授の都村尚子さんへの取材を基に紹介する。 バリデーションは感情を表出させる対話法 介護する側はよかれと思って笑顔をキープすることが多いが、自分が悲しんでいるときに笑顔で話しかけられると、認知症の人は「こんなに悲しいのに笑っていて、この人は分かってくれない」と心を開いてくれない場合が多いという。(©PaylessImages 123-r
認知症が進んだ人とでも、心の通ったコミュニケーションができる「バリデーション」という対話法が、今、注目を集めている。相手に共感することで、認知症の人の自尊心を回復させ、不安を軽減させるという。関西福祉科学大学社会福祉学科教授の都村尚子さんへの取材を基に、バリデーションとは何か、2回にわたり解説する。 バリデーションの基本は「正す」ではなく「認める」 認知症が進んで、自宅にいるのに「おうちに帰りたい」と言い出す母親。これに対し、家族や介護者がしてしまいがちな返答は「何言っているの? ここがお母さんのおうちでしょう」とか「帰るところなんてないでしょう」といった、正しいことを認めさせようとするもの。 「見当識(けんとうしき)といって日時や場所、周囲の人と自分との関係など現実を認識する力が衰えた母親に対し、『ここがお母さんの家で、帰るところなんてないでしょう』と正しいことを言って認めさせようしても
FEATURES of THEMEテーマ別特集 酒の強さは何で決まる? 悪酔い・二日酔いを避ける飲み方 忘年会や新年会などの時期になると、「久しぶりに飲んだら酒に弱くなっていた」ということに気づく人も多い。酒に強くなったり弱くなったりするのはなぜか。酒を代謝する仕組みや悪酔いしない飲み方、病気とアルコールの関係などを紹介する。 最強の免疫力は「ストレス回避」「適度な運動」「体温上昇」で手に入れる! 風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルス──。こうした感染症にかからないために、また、かかっても軽く済ませるために、できるだけ免疫力を高めて対抗したい。本テーマ別特集では、免疫力を高める「ストレス回避」「適度な運動」「体温上昇」で気を付けたいポイント、そもそも免疫力とは何かをコンパクトに紹介していく。 「脂肪肝」を3カ月で撃退する5つの鉄則 「食事を改善すれば脂肪肝は3カ月で良くなる」と肝臓の専
両親や伴侶など身近な人が認知症になったとき、その事実を受け入れることができず、ついとってしまう行動や言動が、認知症の人を傷つけ、症状を悪化させてしまうことがある。どのような行動がNGなのだろうか。東京都健康長寿医療センター研究所 福祉と生活ケア研究チーム研究員の伊東美緒氏の話を基に解説する。 細かい指摘や小言は、逆効果 認知症の初期では、まだ認知機能が保たれているので、一人でも日常生活を行えることは、これまでにも何度か説明してきた通りだ(前回記事「介護保険が使えないことが多い初期認知症、ほかに頼れるものは?」参照)。しかし、何事も完璧にこなせるというわけにはいかない。 例えば、認知症になると、初期の段階から、燃えるごみの中にアルミ缶を入れてしまう、食器に洗剤が付いたまま、うっかり食器かごに上げてしまうといった些細な失敗が、増えてくる。問題は、そんなときの家族の対応だ。 失敗が何度か続くと、
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