創造主である唯一の神を信仰する一神教。「世界宗教」といわれるキリスト教とイスラム教が典型であり、その母胎ともいえるのがユダヤ教だ。しかし、ユダヤ教以前にも一神教誕生の契機はあった。そのひとつが古代エジプトの「アマルナ革命」とも呼ばれる宗教改革である。新シリーズ「地中海世界の歴史〈全8巻〉」の第1巻『神々のささやく世界』では、これを「人類史上の大事件」として取り上げている。 アメンヘテプ4世の「アマルナ革命」 「一神教」が世界史にもたらした影響について、「地中海世界の歴史」(講談社選書メチエ)の著者で東京大学名誉教授の本村凌二氏はこういう。 「一神教っていうのは、いまや我々は当たり前のように感じていて、それが宗教というものだと思っているけれども、だいたいどこの文明でも、本来は「神々の世界」だったわけです。しかし、ユダヤ教やキリスト教のように、唯一神だけを信じて、ほかの神々は認めないっていうの