稲田朋美防衛大臣が都議会議員選挙の応援演説の中で、失言を漏らした。 朝日新聞が伝える当日の演説の要旨は以下の通りだ。 《東京都ではテロ対策、災害、首都直下型地震も懸念される中、防衛省・自衛隊と東京都がしっかりと手を携えることが非常に重要だ。地元の皆さまと国政をつなぐのは自民党の都議会の先生しかいない。(演説会場の)板橋区ではないが、隣の練馬区には自衛隊の師団もある。何かあった時、自衛隊がしっかりと活躍出来るためには、地元の皆さまと都民の協力、都議会、都、国のしっかりした連携が重要だ。下村(博文)先生との強いパイプもあり、自衛隊・防衛省とも連携のある○○候補(※実際の演説では実名)をお願いしたい。防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい。》(ソースはこちら) 素人目に見ても、あり得ない発言だ。 なにしろ、現職の防衛大臣が 「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」
東京都議選は、筆者が年始から繰り返し独自世論調査で指摘してきたとおり、都民ファーストの大勝、自民党の大敗に終わった。先週の情勢記事で指摘したとおり、都民ファーストが公明党やその他推薦候補と合わせて過半数を獲得することは確実といえる数字が各社出口調査で出てきている。 (関連記事:小池氏大勝 歴史的な東京都議選の「勝者」と「敗者」を振り返る) 1月からの投票意向推移。JX通信社調査では都民ファーストが一貫して断トツ先週は在京のほぼ全ての新聞社で都民ファーストと自民党が「横一線」ないし「(僅差で)競り合う」という情勢分析が報道され相場観になっていたが、筆者が代表を務めるJX通信社の調査では上図や過去の記事の通り、都民ファーストが一貫して断トツとなるなど傾向が大きく異なっていた。結果はご承知の通りの「大差」だ。都民ファーストはなぜこれほど大勝し、自民党はなぜこれほど大敗したのか、その要因を過去半年
2016年は2つの大きな政治イベントが大方の予想に反して「ポピュリズムの勝利」という結果となった。英国のEU離脱の是非を問う国民投票と、米国の大統領選だ。反移民および反エスタブリッシュメントに訴え、事実に反するスローガンを織り交ぜたキャンペーンは、「理屈」より「情感」に訴え、成功したといえる。国を二分するようなプロパガンダによって誕生したトランプ新政権は、国際政治に何をもたらすのであろうか、未知数だ。 英国のEU離脱キャンペーンと米国の大統領選挙、英米で展開されたこの2つのキャンペーンには多くの共通点が見られた。その1つが、両方のキャンペーンにあるITデータ会社が関与していたということだ。欧米のメディアではこのことが大きく取り上げられた。 心理分析に基づく広告手法 テクノロジーの進化は、選挙戦略に変革をもたらしている。1996年の米国大統領選では候補者のホームページができ、2004年にはネ
私が知っている例では、フランスの下院および大統領選挙は、2回投票制を採用している。アメリカの大統領選挙も、全米の州ごとに予備選挙や党員大会を順次繰り返して、民主・共和両党による指名候補者を絞り込み、最終段階で、各州の大統領を選ぶ大統領選挙人を間接選挙で選ぶという、慎重な方法をとっている。期間としても、最終的に大統領を選ぶまでに、ほぼ丸1年を費やしている。 先日まで行われていたイギリス保守党の党首選挙(事実上の次期首相選挙)も、投票を何回か重ねて最終的に候補者を一人に絞るシステムを採用している。 これだけ周到な予防線を張っても、それでもなおトランプのような候補が選ばれてきてしまうのが選挙のおそろしさで、それはそのまま民主主義の不気味さということでもある。 東京都知事選挙のレギュレーションには、今挙げた例の中に見られるような安全弁や再考の機会が、まったく含まれていない。 東京都知事選挙が繰り返
参院選が終わってほっとする間もなく、都知事選がはじまっている。 今回の選挙は、参院選以上にピンと来ない。 正直な話、困惑している。 いや、ガチで本当に正直な話をすれば、私は困惑しているのではない。 私は、うんざりしている。 不快感や嫌悪に囚われた時、気持ちの弱い人間は、本当の感情を押し隠して、態度の上では困惑として表現する。あるいは、ヒトサマの前でナマの感情を露呈するのは不躾な態度だという子供の頃からしつけられているマナーが、あからさまな不快感の表明を思いとどまらせているということなのかもしれない。 いずれにせよ、この国では(「東アジアでは」と言った方が正確かもしれない)正直はマナー違反だ。うんざりすることも、だが。 今回、選挙についての文章を書くにあたって、私は、礼儀正しさよりは、正直さの方を重んじる態度で取り組むつもりでいる。 というのも、選挙は、人々を怒らせたり、うんざりさせたり、熱
改憲勢力は?10代投票先は? 参院選データ分析 今回の参院選は、安倍晋三首相が目指す憲法改正に前向きな勢力で、非改選も含め全議員の「3分の2」を超える結果となった。憲法改正の国会発議ができることになる。自民、公明両党では改選過半数を獲得。民進、共産など野党4党は1人区で統一候補をたてて臨んだが、効果は限定的だった。
ということは、選挙というブラックボックスは、それを支えている政治勢力が制度疲労に陥るや、すべての関係者にとって意想外の結果をアウトプットする装置になるということだ。 トランプさんの言っていることがどこまで妥当で、打ち出そうとしている政策やプランが、アメリカや国際社会にとってどれほど有益であるのかという点を考えて投票する有権者が多数派を占めているのであれば、おそらくトランプ氏がそのまま大統領になることは無い。 が、そういうこみいった話とは別に、「人間としての正直さ」だったり、「痛快さ」だったり、「カネを稼ぐ男としてのたくましさ」だったり、「反射神経の鋭さ」だったり「打てば響くアメリカンジョーク配給者としての得点の高さ」で投票する人たちの比率が高まれば、彼は相当数の票を集めることになる。 私は、トランプ氏と橋下徹・前大阪市長を同列に並べるつもりはないし、彼らが同じタイプのキャラクターだと決めつ
ここでいう階層とは、フランスの社会学者であるピエール・ブルデューが、20世紀の古典ともいえる著作“Distinction”において定義したものだ。彼のいう階層というのは、学歴、所得、生まれ、仕事内容、社会的地位などで構成される社会集団のことで、マルクスが言っていたような単純化された階級とは異なる。 ブルデューが豊富なデータとともに示したのは、こういった要素で区分けされた階層間では、音楽のジャンルや、よく買い物にいく店などの「好み」が明確に異なることだった。 こういった定義の階層はもちろん日本にも以前から存在している。そしてSNSを使うことによって、自らが所属している階層以外の意見が以前にも増して見えにくくなっている、というのは多くの人々が指摘するところである。 なぜSNSが私たちの所属する階層を明らかにするかというと、ツイッターでフォローしたり、フェイスブックでつながったりしているのは、学
参議院議員選挙(参院選)も投開票日まであと少し。今回は「ネット選挙」解禁を受けて、候補者たちも盛んにSNSに投稿したり、自分のサイトを更新したりしている。それを受けて、一般の人たちも自分が応援する候補者のツイートをリツイート(再投稿)したり、街頭演説のスケジュールを告知したりといった選挙に関するメッセージをネットで流すようになった。 ネット選挙解禁とは、公職選挙法(公選法)の改正によって、インターネットでも選挙運動ができるようになったことを意味する。ただ、街頭演説やビラ配りなどリアルな選挙運動に法律上の規制があるのと同じように、「ネット選挙運動」にもいろいろな制限がある。今回は、一般の有権者がついついやってしまいがちだが、法律上は「やってはいけない」ポイントを、7つの項目で紹介する。 (1)自分の氏名や肩書きを偽って、ネットで特定の候補者の投票依頼をしてはいけない これをしてしまうと、ズバ
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