「自分が正しい」にこだわりすぎない心の柔らかさを――『寛容力のコツ』の著者に聞く(第2回) 2017/7/21 柳本操=ライター 現場の人と話をする、というお話が出ましたが、やはり直接話をするほうが収穫は大きいのでしょうか。 下園さん 今、コミュニケーション能力の中でも「話を聞く技術」が明らかに低下していると感じます。ディスカッションすることよりも、文字やスタンプだけの簡単なやりとり、あるいは動画のやりとりでコミュニケーションする手軽さが受けている。でも、人間って、それだけでは不十分なのです。私も、メールのやりとりだけでカウンセリングすることは不可能ではないのですが、それをやらないのは、「目の前にいる人に向かって自分の考えを言葉にする」というプロセスの中で、人は自分の信じている価値観や本音を表すことができるのだと思っているからです。 相手の言葉に対してこちらが言葉を投げかけ、少しずつ気持ち
「自分が正しい」にこだわりすぎない心の柔らかさを――『寛容力のコツ』の著者に聞く(第2回) 2017/7/21 柳本操=ライター 怒りにとらわれることは人生の主導権を明け渡すこと 「被害者意識が強い人ほど怒りっぽい」という指摘も、意外でした。怒っている人は、むしろ、誰かに嫌な思いをさせるという点で、加害者なのでは、と思っていたのですが。 下園さん 身に覚えがありませんか。イライラしているときというのは、決まって、「なんで私だけがこんな目に遭わなくちゃいけないの?」「こんなに頑張っているのに!」「自分ばかりが損してない?」という思いが心に渦巻いています。これは、原始人的に考えるとご理解いただけるはずです。 原始人にとって、自分が頑張った労働への成果(食糧の分け前)が期待外れに少ないことや、自分だけが疲労してエネルギーがなくなること(戦闘力の低下)は憂うべきこと。なぜなら命の危機に直結するから
―誰もが「どんな仕事に人生を賭ければいいのか分からない」と悩みます。これに対し「キャリア志向ではなくミッション志向を」と提唱しています。 「世の中にはスキルやキャリアを高める方法があふれ、特に大企業に勤めていると出世や給料が関心事になる。だが、そればかりを追い求める仕事は、自分よりスキルの高い人や人工知能(AI)に代替される可能性がある。しかも誰かが定めた基準による相対評価のもとで働く人生だ」 「一方で自分のミッションを歩む人生は、誰にも代替されない。周囲から理解されない苦しみを伴い、相応の覚悟も必要だが、やりたいことが形になっていくのを見るのは何にも代えがたい喜びがある。食うために稼ぐ“ライスワーク”とは違い、一生を賭けられる“ライフワーク”が得られる」 ―斎藤さんは早くから自分のミッションを意識したそうですね。 「中学2年の時に父親が脱サラして起業した。事業を軌道に乗せるのに苦労する姿
ただ、今回、「ズドン!」と弾を打たれて、少しだけ楽になった。今は必死で抗い続けても、「もう、いいかな」と思ったときに、絶対的価値で生きる選択をすればいい。そう思っただけで、少しだけ楽になったのである。 市場経済では、おカネが絶対的な価値を持つものであったとしても、人間にとっては、人それぞれに価値のあるものが存在し、その絶対的価値あるものに向かっていくことが無用な不安を払拭する。 ひょっとするとその「絶対的価値」を持てない、こと自体が、現代社会の問題かも、と思ったりもする。家族がいればなおさらのこと。自分では「生活のレベルと落としてもいい」と思っても、それを簡単には許さない“ナニか”が、不安を増殖させる。 負け組、格差社会、下流老人、老後破綻……。そういったセンセーショナルな言葉自体も、相対的価値を助長する。そんな風に考えることはできないだろうか。 多少のけがをしたり、痛い思いをするかもしれ
入山:なるほど。突き詰めると「自分を否定するような人」も受け入れないと、ダイバーシティを重視しているとは言えない。でもそれは、価値観・考えを多様化させるタスク型ダイバーシティの究極の姿かも。 河合:そうです。でも、案外それが難しい。私も日経ビジネスオンラインの連載で、否定的なコメントをされることが多々ありまして。結構、落ち込むわけです(笑)。でも、不思議なもので、それに対してまた別の人から意見がついたり、コラムを肯定的に評価してくれたりするコメントもつく。すると私も少しだけ気持ちに余裕ができて、否定的な意見を受け入れられるようになるんですね。「ああ、確かにそういう見方もできるよね」って。別の角度から物ごとが見られるようになる。これが「多様性」を受け入れるってことですよね。といっても、こんな覚悟がもてるようになるには、相当の年月がかかりましたけれど(苦笑)。 入山:実は私も最初の本を出したと
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