お盆休暇中、あるカメラマンの写真に偶然出会い、思わず目が釘付けになってしまった。「The Death of Conversation」と題した19枚の写真シリーズがそれ。人々の生き様を街中でファインダー越しにえぐり取ることをライフラークとしている、英国ロンドン在住のベイビーケイクス・ロメロ氏が手がけた作品だ。 和訳すれば「会話の死」、意訳するなら「人々の会話はもう死んだ」といったところか。すべての写真に共通するのは、スマートフォンを片手に画面に見入っている人物がモチーフであること。本人たちの意思とは無関係に、彼らがたたずむ空間はそこだけ周囲の世界とは分断したように見える。なんとも言えないもの悲しさが漂っている。 スマホは日常生活を飛躍的に便利にする革新的な製品なのは間違いない。だからこそ、爆発的に普及したのも必然だった。一方で、登場前に当たり前にあったはずの温かみのあるコミュニケーションの