一方、日本では実効性に乏しい施策ばかりが横行し、企業が実施しているメンタルヘルス対策の主流は、「相談窓口」の設置と「管理職研修」。 リーマンショックが起こるまでは、職場環境の改善や社員のストレス対処力を高める予防プログラムにお金をかける流れがあった。私は一次予防が専門なので、独自に開発したプログラムを使いたいという依頼を頻繁に受けた。 ところが、リーマンショック後その流れは途絶え、三次予防や四次予防のニーズが急増する。復職プログラムを完備し、亡くなった人に訴えられないように対応を徹底させたりと、メンタル不全の「事後」対応に必死な企業が増えていったのである。 進む「切り捨て社会」 最近は「健康経営」を積極的に行い(これについては別の機会に取り上げます)、従業員の健康を守り、生産性を高めている企業も徐々に増えつつある。だが、そもそもそういった会社はトップの問題意識が高く、“人にやさしい企業”で