怒鳴り散らして恫喝する上司もいれば、冷静な言葉で外堀から埋めるみたいにして部下の一挙手一投足を論破して行くタイプの上司もいて、潰すに至る手法は様々なのだが、共通しているのは、それらの「クラッシャー上司」と名づけられた中間権力者が、「恐怖」によって他人をコントロールする点だ。 読んでいて興味深かったのは、著者が、部下を鬱病に追いやる共感性を欠いた独善的な上司の人格モデルと、粉飾決算を通じて倒産の危機に至っている東芝の経営陣に蔓延していたと思われるパワハラ体質に、共通するモデルを見出している部分だった。 たしかに、「反論を許さない上司」の下で働く部下がいずれ潰れることと、「反論できない空気」をその内部にかかえた組織が最終的に狂った集団に変貌して行くことには、不気味な相似がある。 パワハラが顕在化するのは、上司と部下の一対一関係においてではある。 が、実のところ、パワハラはひとつの組織の中に「体