ウツは夫婦間で伝染する スピルオーバーという現象がある。 スピルオーバー(余剰・余波)とはもともと、電波が目的の地域外まで届く現象を指す言葉だが、心療内科では、職場でのストレスと家庭でのストレスがそれぞれの界面を超えて影響を及ぼす現象に使われている。 また、スピルオーバーは夫婦間でも起こり、夫(妻)のストレスが妻(夫)に伝染し、妻(夫)が専業主婦で献身的なほど「夫のかわりにウツ」になる傾向が強い。 件の彼女は専業主婦ではなかったけど、スピルオーバーが起きていたと十分考えられる。加えて、夫を心配する気持ちと、疲れと、自責の念がグチャグチャに絡み合い、感情が割れるだけ割れ、彼女自身が“ストレスの雨”にびしょ濡れになってしまったのだ。 これまでにも、家族がウツなどのメンタル不全に陥ると、本来、傘になるはずの家族の過大な負担になったり、ウツがうつったりと、ネガティブな影響が指摘されてきた。それでも