その一つに、「アノクラシー」があります。アノクラシーとは、専制支配と民主主義の中間概念なのですが、複数の信頼度の高いデータ・セットと「ポリティ・インデックス」という指標を用いて、内戦の危険水域(魔の中間地帯)の所在が示されています。 もちろん、危険水域に至ったからと言って、すべての国や社会が内戦に突入するわけではありません。それは、河川の水位が一定以上に達したからと言って、常に洪水の被害がもたらされるわけではないのと同じです。 けれども、そこには内戦勃発を予期するうえで顕著なパターンが見出せると主張されています。これは、内戦危機の「急所」と言ってもよいポイントなのですが、いくつかあるうちの一つにあえて目を向けるならば、「格下げ」があります。 フィリピンやユーゴ、インド、ジョージアなどの例が取り上げられていますが、格下げとはある階層の政治社会的地位が、何の合理的理由もなく喪失される状態を指し