決して理屈だけでは管理できない人間の心がある限り、ミスを犯す可能性はゼロにはならない。少しばかり大げさにいうと、「ヒューマンエラー」が起きるということは、そこに人間がいることの“証”なのだ。 しかも、その避けることが難しいヒューマンエラーが、人命を預かる業界だけではなく、すべての産業、すべての組織に多大な損失をもたらすことがある。 そこで今回は、「ヒューマンエラー」について、考えてみようと思う。 ヒヤリ・ハットの効用を示した「ハインリッヒの法則」 今回の背面飛行の一件で耳にした人も多いとは思うが、重大な事故の7割から8割はヒューマンエラーによるもので、1つの大事故の背景には、29の軽微な事故、さらには300のニアミスが潜んでいるとされる。 これは、重大な事故は偶発的に起こるものではなく、何らかの予兆が潜んでいるという教訓をもとに、米国の損害保険会社に勤務していたハーバート・ウィリアム・ハイ