“潮干狩り理論”を、全否定できなかった 私は社長さんの話を聞きながら、学生時代に潮干狩りに行った時のことを思い出していた。 「目の前にアサリがたくさんあるんだから、がんばって獲れよ。今夜のご飯だぞ!」 先輩にこう言われたのだ。4月初旬の海岸は予想以上に寒い。「寒いよ~。もう帰ろうよ~」と半泣き状態だった私に、目の前に旨いもんがあるのに、今獲らなくてどうする? 今でしょ?! と言わんばかりに怒られた。 あのときの“潮干狩り理論”(下手なネーミングだ)と、全く同じだ。 この社長さんの発言を、 「社員はモノじゃないんだ!」だの 「そんなことやってるとつぶれるぞ!」だの 「人権というものを、どうお考えですか?」だの 「それで社員が過労死したら、どう責任を取るんですか?」だのと、 正論でぶった切ることはできる。 実際、残業を肯定する姿勢は全く共感できなかったし、ストレスマネジメントさえ上手くなればど