「ブレードランナー」で生命や科学を語ろう 新作『ブレードランナー2049』が深化させる「人間とは」の問題提起 粥川準二 叡啓大学准教授(社会学) 筆者は中学生のとき、映画館で『ブレードランナー』を観て、衝撃を受けた。テレビで放映されたものを録画して何度も観て、大学生のときにはディレクターズ・カット版を、2007年にはファイナル・カット版を複数回映画館で観た。体を壊して休業していたときには、5枚組DVDセットの各バージョンを何度も観た。もちろん、原作のフィリップ・K・ディック著『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(早川書房)も、この35年間繰り返し読んだ。 『ブレードランナー』は、筆者が生命科学や生命倫理に興味を持ったきっかけの1つだ。 非常勤講師をしていた東京海洋大学や明治学院大学では、この映画を教材として使ったこともある。後述するような筆者の体験を学生にもしてほしいからだ。なかには、そ