両親や伴侶など身近な人が認知症になったとき、その事実を受け入れることができず、ついとってしまう行動や言動が、認知症の人を傷つけ、症状を悪化させてしまうことがある。どのような行動がNGなのだろうか。東京都健康長寿医療センター研究所 福祉と生活ケア研究チーム研究員の伊東美緒氏の話を基に解説する。 細かい指摘や小言は、逆効果 認知症の初期では、まだ認知機能が保たれているので、一人でも日常生活を行えることは、これまでにも何度か説明してきた通りだ(前回記事「介護保険が使えないことが多い初期認知症、ほかに頼れるものは?」参照)。しかし、何事も完璧にこなせるというわけにはいかない。 例えば、認知症になると、初期の段階から、燃えるごみの中にアルミ缶を入れてしまう、食器に洗剤が付いたまま、うっかり食器かごに上げてしまうといった些細な失敗が、増えてくる。問題は、そんなときの家族の対応だ。 失敗が何度か続くと、