講演する樋口英明氏=2021年年9月、福井市(C)Kプロジェクト2022 岸田文雄首相は8月下旬、原発の再稼働に向け「国が前面に立つ」意向を示し、原子炉の新増設や建て替えを進める姿勢を表明した。一方、経済産業省は、電力需給逼迫(ひっぱく)を背景とした安定供給や脱炭素化推進のため、既存原発の運転期間延長の法整備検討を開始した。こうした「原発回帰」の動きが強まる中、東京電力福島第1原発の事故後、初めて原発の運転差し止めを命じる判決を出したことで「原発を止めた裁判長」として知られる樋口英明氏に話を聞いた。(時事総合研究所代表 村田純一) 樋口 英明(ひぐち・ひであき) 大阪高裁判事、名古屋地家裁半田支部長、福井地裁民事部総括判事などを歴任。2014年5月、関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じる判決を、翌年4月には関西電力高浜原発3、4号機の再稼働差し止めの仮処分決定を出した。2017年