藤田 私が『貧困世代』で取り上げたのは、若者の貧困について、です。私が支援してきた若者のなかには、一日わずか260円の食費で生活しなければならないといった女性や、所持金を13円しか持ち合わせていない男性がいました。 貧困は、若者にも迫り、高齢者にも迫り、さらには非正規雇用の割合が多いといわれる団塊ジュニア世代にも迫っている――。改めて、日本が「一億総中流社会」ではなくなったことに気づかされます。 この状況改善に一刻も早く取り組まなければならないのですが、大変悩ましいことが二つあります。一つ目は、明らかに生活は苦しいにもかかわらず、「自分はまだ中流だ」という意識を持っている人が多く、SOSの声を自ら上げようとはしないことです。 たとえば私が会ったある高齢者は、光熱費が払えなくて、本当は毎日お風呂に入りたいんだけれども、月に1、2回しか入れないという状況にありました。これは、明らかに支援が必要