〈あらすじ〉 1858年、イタリア・ボローニャ。ユダヤ人居住区にあるモルターラ邸に教皇直属の兵士が押し入り、7歳を迎える少年エドガルドをローマに連れ去った。実はエドガルドは、生後間もない頃にベビーシッターから秘密裏に洗礼を授けられていたのだ。そして受洗者は、カトリック教育を受けなければいけないという。 ユダヤ教徒の両親は、息子を取り戻そうと奔走するが、ローマ教皇ピウス9世(パオロ・ピエロボン)は世間から非難されつつも、返還を頑なに拒絶。一方、エドガルドはカトリック教徒としての生活に順応していく。 〈解説〉 カトリック教会のユダヤ人少年誘拐事件を映画化。監督・脚本は『シチリアーノ 裏切りの美学』のマルコ・ベロッキオ。134分。 中野翠(コラムニスト) ★★★★★宗教という権威の暗黒面。19世紀半ばの、ほぼ実話とか。主役のユダヤ少年の愛らしさ。子を奪われた母親の狂おしさ。 芝山幹郎(翻訳家)