日本に親近感を持ってもらうためにやったこと 【中村】私は枢機卿や教皇庁の高官に会うたびに、また大使公邸にまねいて一緒に食事するたびに、バチカンと共通の価値観を持つ日本にぜひいらしてほしいと教皇の訪日についてお願いしました。 当初は日本に関心が薄かった人たちも、徐々に「今晩、教皇に会ったら伝えておくよ」「私から教皇に話してみます」という反応が返ってくるようになった。 私は、枢機卿や高官だけでなく、バチカンを守るスイス衛兵、バチカン警察、医師や看護師、庭師、スーパーの店員……。さまざまな立場の人たちと付き合うようにしました。 赴任当初にスイス衛兵のオフィスにあいさつに行くと隊長が「われわれを表敬訪問した日本大使は、あなたが初めてだ」と歓迎してくれました。 また、私は毎年11月に天皇誕生日のレセプションを開いており、そこに衛兵の隊長も毎回招いていたんです。彼は、「こんなに頻繁に訪ねてくれるのは、